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ベートーベンの四重奏曲と交響曲
作曲家にとって交響曲が外に向かっての発表の場だとしたら、四重奏曲は「日記」のようなものではないでしょうか。

そこには作家の心の中の思いを、自分に向かって語るような趣があります。ベートーベンのように苦悩にたち向かってゆき、栄光を掴み取るというような気力の充実した交響曲群にくらべて、弦楽四重奏曲はなんと優しい表情で綴られていることでしょう。

特に後期の作品は、内面を見つめた思索にあふれた作品です。第9交響曲を書き上げたあとも死の前年まで書き続けた四重奏曲は、完全に耳が聞こえなかったので心の中で鳴り響いていた音楽を譜面に現したような孤独な音楽です。

これら後期の作品を聴いていると、ベートーベンの晩年の心の内が垣間見られるような気がします。特に第14番は依頼もないのに自発的に書かれた作品で、あふれる楽想を譜面にとどめたのでしょうか、ベートーベンの寂謬感のにじみでた深い音楽です。

交響曲のイメージとは全く違うのでびっくりしてしまいますが、これが本当のベートーベンの姿ではないでしょうか?


B00005GB12ベートーヴェン:弦楽四重奏全集
ブダペストSQ ベートーヴェン
ソニーミュージックエンタテインメント 1987-12-02

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